そして、私は渚に誓った・・・

 

大学進学と同時に都会暮らしを始めた私。

そのまま、東京で就職、そして、ひと月後に式を挙げる彼ともそこで出会った。

付き合って4年半になる彼。

喜怒哀楽が子供みたいに面倒くさい性格の私を愛し、包み込むように接してくれる誠実な人。

 

そんな彼との新しい生活がもうすぐ始まろうとしているのに、

何?この感覚??

まるで振り子のように揺らめく何か・・・

地元の親友に電話すると、「マリッジブルーじゃない?お祝いパーティするから、こっちに戻っておいでよ。」と笑われた。

 

久しぶりの実家の匂い。

懐かしさが込み上げてくる。

あぁ、私、マリッジブルーだったのかも・・・ってクスッと笑みがこぼれた。

 

部屋の窓から見える海辺はあの頃と変わらない。

でも、何かが足りない・・・

 

あぁ、私、ここからいつも「彼」の姿を眺めていたっけ・・・

 

気づけば、居もしない「彼」の幻影を求めて、海辺に向かって走ってた。

 

私の傍に今いてくれてるあの人のこと、もちろん愛してる。

 

だけど、あんなに恋焦がれたのは「あなた」だけ・・・

 

私がこの街を去る日までという期限付きの恋。

サヨナラしてからも、時折あなたの名前を呟いた。

寂しさから?恋しさから?どれも違う。

あなたと過ごした時間に浸れるから。

 

いつまでも私の心を離さない罪な人・・・

 

頬をつたう涙を拭い、打ち寄せる波に向かって、叫んでた。

「私・・・来月結婚するの!」

 

どこにいるかもわからない「あなた」。

だけど、引いてゆく波が届けてくれそうな気がして、再び叫ぶ。

「ずっと好きだった!あなたが好き!!」

 

もう二度と言葉にすることが許されない想い。

それを胸に、私はこれから別の人と寄り添い、歩んでいく。

あぁ、私、この罪悪感を受け入れる勇気がなかったのね・・・

でも、もう大丈夫。

今日から『秘密の想い出』と共に生きてゆく。

 

サザンオールスターズの7枚目のアルバム「人気者でいこう」に収録

作詞:桑田佳祐

作曲:桑田佳祐

珍しく女性目線の歌詞を桑田がボーカルとして務めた一曲であり、女性にもカラオケなどで歌われやすい。女優の芳本美代子もカバーしている。

 

どちらかというとひと夏のアバンチュールというよりも、花火のように一瞬の煌めきを閉じ込めたような、その人にとって生涯忘れられない恋という印象をこの歌より受けました✨

『秘密の想い出』を持ち続けることは、果たして、罪なのでしょうか?(* ´艸`)